Red Hat Summit 2020セッション Red Hat OpenStack Platform 16 紹介 (2)

OpenStackを担当しているソリューションアーキテクトの輿水です。

4/28(火)〜4/30(木)に開催されたRed Hat Summit 2020 のセッション「The next evolution of Red Hat OpenStack Platform」の内容を元に最新版のRed Hat OpenStack Platform(以降RHOSPとします)について記載します。

Distributed Compute Nodes (DCN)

RHOSPとDCN(Distributed Compute Nodes)についてです。エッジコンピューティングとは目的が異なりますが、従来からRHOSPをIaaS基盤として検討する際に「拠点を分けたい」というご要望は比較的多くありました。どちらかというとDisaster Recoveryの観点が多かったと思います。RHOSPの利用して拠点を分散させる際の大きな課題として以下のような点があります。

  • RHOSPはOpenStack Directorを利用してデプロイする
  • DirectorはIPMIを利用するので、コンピュートノードは同一セグメントに接続される必要がある(拠点間ネットワークの設計)
  • OpenStack Controllerは3台で構成される。ControllerはDBとしてMariaDBを利用しており、拠点Aに2台、拠点Bに1台のように分散させた場合、拠点Aがダウンした際は復旧が困難になる
  • 仮想マシンへのトラフィックはOpenStack Controllerを通る必要があるため、拠点間のネットワーク性能に依存する部分が大きい

上記のような課題に対応しつつRHOSPで分散コンピュートを設計・実装している事例はありますが基本的にはsupport exception(サポート例外)となってます。

DR観点ではなく、分散コンピュートが求められるユースケースとして以下のような項目が考えられます。

  • リモートオフィス・ブランチオフィス
  • Telco (vDRAN): virtualized distributed RAN
  • Telco (vCRAN): virtualized centralized RAN
  • 交通機関での利用(例:高速道路のデータ収集、車両や船の情報)
  • 製造、工業用、センサー
  • Content Delivery Network(CDN):エンドユーザにネットワークを通してコンテンツを配信

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Distributed compute nodes use cases

OpenStack at the Edge

想定するEdgeの規模感

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OpenStack at the Edge

DCN(Distributed Compute Nodes)での考慮点

  • デプロイ方法:マニュアル(非サポート)/OpenStack Directorによるsingle-stack/OpenStack Directorによるmulti-stack
  • エッジサイトにに置くリソース:Computeのみ/ComputeおよびCephストレージ
  • ストレージ:Local Ephemeral/Local EphemeralとPersistent Storage
  • ネットワーク構成:L2 Flat/L3 Routed
  • イメージのキャッシュ:Local Disk/glance
  • ネットワークレイテンシー:100 ms (RTT)程度 ※RHOSP13時
  • スケールするノード数:300程度 ※RHOSP13時

RHOSP 16以降についてはDistributed Compute Nodes (DCN)の実装方法として複数のエッジサイトをプライマリーサイトに置かれたひとつのツールで管理するよう進められています。RHOSP 13からOpenStack Directorを利用してデプロイされたOpenStack環境のみがサポート対象となっているため、OpenStack Directorを利用してコンピュートやCephのデプロイ、ライフサイクルの管理を行う予定です。

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Sites with Distributed Compute Nodes

  • プライマリーサイトのアンダークラウド(OpenStack Director)を共有する
  • プライマリーサイトにコンテナレジストリーを配置
  • エッジサイトにはComputeとStorageを配置
  • Multiple Haet Stacks:サイト毎にひとつのheat stackを用意する
  • Multiple Ceph Clusters:サイト毎にCephクラスターを配置(OpenStack Director利用)
  • 利用できるストレージの種類
    • ローカル ephemeral storage
    • Ceph上のPersistent storage
  • イメージのキャッシュにglance利用

これらは6月末時点では開発中でありRHOSP 16.0ではリリースされていない機能もあるため、リリースされ次第詳細を記載する予定です。

* 各記事は著者の見解によるものでありその所属組織を代表する公式なものではありません。その内容については非公式見解を含みます。