Red Hatの小島です。
本記事では、パブリッククラウドで利用する従量課金形式のRHELで、Red Hat Insightsを利用する方法をご紹介します。
前置き
有効なRHELのサブスクリプションを持っていると無料で利用できる、Red Hat InsightsというSaaS形態のサービスがあります。Red Hat InsightsはRHELを始めとするRed Hat製品の問題(RPMパッケージの脆弱性情報や設定情報の不備など)を未然に検知し、Red HatのWebサイト上でHTMLベースのレポートを表示するサービスです。Red Hat Insightsの概要については、下記の記事もご参照ください。
さて、このRed Hat Insightsですが、実は、Red Hatの認定パブリッククラウドプロバイダーが提供するRHELを使う時でも利用できるようになっています。例えば、AWS/Azure/GCPなどのマーケットプレイスで払い出された従量課金形式のRHELインスタンスを利用している場合、利用者はRHELの利用料金を、Red Hatではなく、提供元のクラウドプロバイダー(AWS, Microsoft, Googleなど)に全て支払うようになっていますが、このときもRed Hat Insightsを利用することができます。この場合に限っては、利用者は、有効なRHELのサブスクリプションを持っておく必要はありません。
Red Hat Insightsを使うときは、最低限Red Hatのアカウントを作っておく必要があります。無料で作成できますので、アカウントを持っていない場合は、Red Hatのカスタマーポータルから作成しましょう。ここで作成したアカウントを使うことにより、パブリッククラウドに払い出されたRHELインスタンスで、Red Hat Insightsの利用を開始できます。
Red Hat Insightsの利用方法
RHEL7までのRHELインスタンスを利用している場合、次のコマンドを実行して、Red Hat Insightsのクライアントパッケージをインストールします。クラウドプロバイダーが提供するRHELインスタンスについては、デフォルトでRHUI(Red Hat Update Infrastructure)という、クラウドプロバイダーが運用管理するRHELのリポジトリサーバーを参照できるように設定されており、最初からyumやdnfコマンドでRHELのパッケージをインストールできるようになっています。なお、RHEL8以降の場合は、クライアントパッケージはデフォルトでインストールされているため、このコマンドの実行は不要です。
$ sudo yum -y install insights-client
次に、insights-clientパッケージの設定ファイル(/etc/insights-client/insights-client.conf)で、Red Hat Insightsを利用するためのBASIC認証を設定します。設定ファイルの末尾に、設定項目を追加して保存します。なお、ユーザー名とパスワードはプレーンテキストとして保存されるため、Red Hat Insightsを利用するための専用のユーザーを新規作成しておくことを推奨します。
$ sudo tee -a /etc/insights-client/insights-client.conf <<EOF > /dev/null > auto_config=False > authmethod=BASIC > username=<上記で作成したRed Hatアカウントのユーザー名> > password=<上記で作成したRed Hatアカウントのパスワード> > EOF
最後に、RHELインスタンスをRed Hat Insightsに登録するコマンドを実行します。
$ sudo insights-client --register Successfully registered host XXXXXXXXXX Automatic scheduling for Insights has been enabled. Starting to collect Insights data for XXXXXXXXXX Uploading Insights data. Successfully uploaded report from XXXXXXXXXX to account YYYYYYYYYY. View the Red Hat Insights console at https://console.redhat.com/insights/
Red Hat Insightsへの登録が完了すると、上記のようなView the Red Hat Insights console at https://console.redhat.com/insights/
というメッセージが出力されます。Red Hat InsightsのWebページにアクセスして、RHELインスタンスのシステム情報があることを確認できます。
このように、オンプレとパブリッククラウドの両方でRed Hat Insighsを利用することで、ハイブリッドクラウドでのRHELの一貫した運用を実現する手助けとなります。ぜひともご活用ください。
参考情報
- パブリッククラウドでのRed Hat Insights利用ガイド
- Red Hat Update Infrastructure が管理する既存の RHEL システムに Red Hat Insights をデプロイする
- AWSで利用可能なオンデマンド(従量課金)RHELイメージの一覧
- Azureで利用可能なオンデマンド(従量課金)RHELイメージの一覧
- GCPで利用可能なオンデマンド(従量課金)RHELイメージの一覧