OSS文化が育てるエンジニアの行動変容

こんにちは。Red Hatコンサルティングチームの木嶋です。

組織の変革において「うちの若手にはもっと積極的になって欲しいんだけど」とお嘆きの声を耳にする機会があります。
人のマインドや組織の文化を変えるのは、そう簡単ではありませんよね。

この赤帽エンジニアブログにガンガン投稿するような猛者たちって、どのようにして育つのでしょう?

意外に思われるかもしれませんが、弊社Red Hatでも、新しく入社される方々が全員積極的な猛者であるわけではありません。
最初は狼の群れに放り込まれた羊のように戸惑いながら、少しずつ環境に馴染み、いつの間にか情報発信の中心に立つようになっていくのです。

では弊社ではなぜ自然と猛者が育つのでしょうか。

(手前味噌で恐縮ですが) この変化が自然に起こる背景には、文化の土壌があります。
この記事ではお悩みの皆様の参考になるように、どのような仕組みになっているかを紐解いてみたいと思います。

最初は誰でも怖い

入社して最初に思うのが、「何この猛者の集団こわい。」
正直自分は場違いなんじゃないかと思うのです。

以前からいるメンバーは自信を持って社内社外に情報発信をするし、専門家としての地位を確立しています。
私も前職ではそれなりに知見を積んでいましたけど、役に立つのか正直不安な時もありました。

そのうち自分がそれなりに知見を持っている領域で、誰もやっていない領域が見えてきます。
猛者だからこそ気が付かない初学者の視点は特に盲点になりがちです。

こういう点を見つけた時に、「自分がやっていいのか」という戸惑いがありました。

なぜか動き出せる

では、やっていいかどうか誰に聞けば良いのか。あるいはどこに書いてあるのかわからない。
調べてもどこにも出てこない。

こういう時、マネージャーが怒ったり、あるいは隠れた重鎮がいらっしゃり、明文化されていないルールをお持ちだったりすることがありますよね。
もめるのはいやなので同僚に聞いてみました。

聞き先があるかもわからないので、やってみて怒られたらやめたらいいんじゃない?

この時教えてもらったのは、聞き先が見つからないのにクヨクヨと探す行為はコストだという考え方でした。
答えがないものを探しても意味はないので、であれば実行して怒られたらやめた方が「コストが低い。」
この言葉が目から鱗でした。

これはある意味、GitでのPull Requestと似ています。
やってみて、フィードバックをもらってから直す。その方が早くて合理的だ、という考え方です。

その言葉に勇気をもらい、MVPを作って社内で発表してみました。
さらにそのMVPは、後日お客様に紹介してもらう機会を頂戴しました。
この段階でやっと似たような領域をやっている人に紹介いただき、その人と話をしてやっと「ああ、この内容って実は本当に誰もやってなかったんだ!」と気がつきました。
その段階のプロトタイプが当面の私の名刺がわりになっていたように思います。

私はこうして弊社での一歩を踏み出したわけですが、これは決して私だけの話ではありません。
実は先日弊社内でアンケートを実施したのですが、多くのメンバーが、大小の差はあれど、ほぼ同じ道筋を辿っていることがわかりました。
つまり弊社内ではこのように自然と動き出せるような文化が根付いているのです。

OSSらしい文化とは何か

弊社はOSSの会社と言われます。
これは単にソースコードをオープンにし、誰でもアクセスできるよう開示している会社というだけではありません。
私が弊社で経験しているのは、貢献を通じて関係性が生まれ、信頼が育ち、さらに次の行動を呼び込む構造をOSSを基盤にして作っている会社です。

これはガイシ系ソフトウェア会社にありがちなJob Descriptionや成果主義などの人事制度だけではなく、以下3つの特徴的な文化があります。

  1. 情報発信が自己紹介に
  2. 貢献がつながりに
  3. フィードバックが共創のきっかけに

この記事の前半では、私自身の体験をもとにこうした文化がどのように機能しているかをご紹介しました。

とはいえ、最初の行動のきっかけは、実に小さなものでした。
周囲の振る舞いが一貫して “Encouraging (後押ししてくれる)” だったことです。

例えば、このように。

  • マネージャーがチャレンジを当たり前だとして背中を押してくれたこと
  • 同僚が「いいね!」と言ってくれたこと
  • 他の人に「あれを作った人だよ」と紹介してくれたこと
  • 既存のアウトプットとの重複が多少あったとしても、視点のユニークさを認めてもらえること

まずは一つの “Encouragement” から

こう考えると、トリガーになっている小さな “Encouragement”、背中を押す一言や振る舞いなら、今日からでも始められそうな気がしませんか。

よく言われるように、行動がマインドセットをつくり、マインドセットが文化をつくります。
文化の形成が難しいのは、それがこれらの積み重ねの集大成だからです。

まずは自分が “Encouragement” を当たり前にできるようになることを目指してみましょう。気がつくばそれは自分のマインドセットになり、やがてチームの文化に育つはずです。

まとめ

このように弊社の文化を紹介してみましたが、正直に申し上げてこんなにうまくいっていないことも多々あります。
情報が多すぎてうまく探しきれなかったり、コミュニティが多すぎてうまく情報を届けにくかったり、この文化になじむのが難しいと感じる人もいます。

でも多くのRed Hatter (弊社メンバー) が貢献を歓迎し、お互いをEncourageしあう文化を大切にしています。
ご興味があれば、ぜひ弊社の誰かにどんな文化として体験しているのかを聞いてみてください。

Appendix

今回の社内アンケートをもとにまとめたJourney Mapを以下に共有します。
新しい文化づくりに取り組まれている皆様にとって、何かのヒントになりましたらうれしく思います。

Journey Map (New Red Hatter)

* 各記事は著者の見解によるものでありその所属組織を代表する公式なものではありません。その内容については非公式見解を含みます。