非エンジニアが技術者コミュニティ活動の運営に携わって感じたこと

TL;DR

この投稿は、Qiitaの赤帽エンジニアAdvent Calendar 2018第1日目の投稿です。第1日目はエンジニアじゃなく、書いてみたらかなり長くなってしまったのですが、タイトルの通りの趣旨で書いていきます。

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自己紹介

こんにちはレッドハットでAnsibleのビジネス開発を担当している中村@fideleruuthです。僕はレッドハットに2010年に新卒社員(今は新卒採用していません・・泣)としてレッドハットに入社し、8年以上この会社で働いています。もともと文系の大学を卒業して、レッドハットに入ってからも営業職として6-7年経験をしていました。2017年からビジネス開発のポジションを担当しており、2年弱ほどAnsibleにディープに携わっています。

Techなコミュニティに参加していると結構勘違い(というか僕が何も言わないから知られていないだけ)されてエンジニアなんじゃないかと思われていますが、技術的なバックグラウンドはなく、技術的な情報は独学で行い、製品の機能やメタレベルでのお話はさせていただいておりますが、細かい話の場合には弊社の超優秀なSolution Architectに聞くというスタイルを取っています。

現在は、ビジネス開発という立場ですので、製品が日本中でどれだけ売れるか、ということを最大のミッションとして持っており、マーケットでの認知度からどのように案件を推進するのかといったことを社内では考え実行しております。また、お客様がいかに自動化のメリットを享受していただけるか?といったことを国内での動向はもちろんのこと、海外での事例をお客様・パートナーの皆様にお話し啓蒙するようなことも頻繁に行なっております。という意味で、お客様を最大限にハッピーにするために技術的な内容もある程度抑えつつお話させていただく、というようなAnsible 絡みならなんでもやるという何でも屋さんです(苦笑。

ビジネス開発というと会社によって役割が違うのですが、小規模な会社のため、マーケットでの認知度をつくるところから売り上げをあげる、お客様の満足度をあげるといった販売から購買経験全てのプロセスにおいてなんか介入しまくるということをやっています。

この1年弱コミュニティ活動に携わったことについて

さて、この投稿の本旨である、非エンジニア職の僕がエンジニアのコミュニティ活動に携わっての気づきなどを書いていきたいと思います。自己紹介で書いた通り、Ansibleのビジネスを担当しているので、ここ2年弱、Ansibleユーザー会のコミュニティの運営に携わっています。Ansibleユーザー会の運営に携わったきっかけから、どのようなことを行ったかを書いたうえで、最後の方に気づきや今後考えていることを書きたいと思います。非エンジニア職で、ビジネス開発の視点になると思いますが、ご参考になればと思います。

きっかけ

OSSをの代名詞的な存在であるレッドハットが唯一僕が働いた経験のある会社であるのですが、実はOSSのコミュニティに携わったことは皆無でした。一方で、エンジニアの何名かはコミュニティ活動に参加していたりという姿を遠目から(Twitterなど)見ていました。

なんとなくその遠目から見ているときから、エンジニア同士が情報交換を積極的に行なっていることに対しての憧れのようなものを感じていたと思います。

ビジネス開発という立場上、Ansibleそのものの認知度をあげることも当然重要な要素であるということもあったため、僕が担当しはじめてすこし落ち着いたところからエンジニアに呼びかけつつ定期的に実施しだしたのが2017年夏頃からでした。また、AWS筆頭に、コミュニティマーケティングのようなキーワードがかなり色々なところで広まりはじめていたのも2017年頃だったかと思います。

そのようなことが相まって、積極的に関わっていこうと思ったことがきっかけです。

何をしてきたか?

Ansibleユーザー会

元々はレッドハットがAnsibleを買収する前からコミュニティの有志の方々で運営されていたようですが、買収後からレッドハット社員のエンジニアにも運営権限が渡され、ネタがあればやるというスタイル(これは今もあまりかわりありませんが)を取っていたようです。

ConnpassのAnsibleユーザー会の登録者数は今日の時点で2900名を超えており、今年はどのくらいユーザー数が増えていくのだろうか?というのが興味があったので、ユーザー数を夏くらいから計測しています。すると半年くらいで数百人増えるという形で、Ansibleに興味のある人が増えていることがわかります。

勉強会・もくもく会(地方開催)

勉強会は場所の問題が大きいですが、幸いレッドハットの恵比寿オフィスには70名ほどは入るセミナールームがありますので、そちらを使ってだいたい3カ月に1回程度の頻度で、Ansible Nightというイベントを実施しています。Ansibleはいろんなものを対象にできるので、ネタは尽きないとおもっていますが、正直運営で大変なのは企画立案のところです。ここはレッドハットの社員経由だったりAnsible Nightで知り合った人を経由してお願いしたり、常にアンテナを高くして次は何しよう〜?と悩みながら調整しています。

もくもく会は、2018年の3月から実施しはじめた企画です。もともと2017年にお仕事としてセミナーの開催をしたりしていたのですが、セミナーに参加した人のアンケートなどを見ると、そもそもAnsible Engineの使い方に悩んでいる、そもそもAnsible Towerについて知られていない、もちろん触ったこともない。そんな状況があったので、もっと広くAnsible Towerを知ってもらいたいな、ついでにAnsible Engine周りでも課題解決できたらな、ということでもくもく会を実施するようになりました。しかも、ほぼ毎月。もくもく会は、自習形式のため、あまりRH社員の労力にもならないようにしていますが、毎回スーパーなエンジニアが質問に解答してくれています。

地方でのAnsible Nightやもくもく会の開催も実施しました。ここはちょっとノリでやろうという風になったというのが正直なところですが(出張の理由考えるのも大変ですし)、基本的には上記と同じように、きっと地方でもAnsible でもやもや(もくもくではない)している人がいるだろう!というところからはじめました。実際7月大阪、8月福岡、11月大阪と3回実施させてもらいました。どの会に行っても課題意識を持っているエンジニアの人が多く、こちらも東京ではこうやってるよ〜とかいう話をしてお互いに刺激を受けました。

ちなみに今年度に関しては、個人的なボランティア活動として、自腹きってでもイベントの企画があれば地方へ行くということを考えています。あと、3ヶ月くらいですので、ぜひ呼んでください。

Ansible Slack コミュニティ

夏頃だったかと思いますが、たまたまTwitterで見かけた「Ansible関連ってSlackないの?」というどなたかのツイートを見かけて、今年のはじめから何かそういう語る場所とか、グループサイトのようなものがあった方がいいのかな?ということをウジウジ考えていたので、「これはいいきっかけだ!需要もありそうだし!」ということで、言われて秒で作成しました。

夏に作ってから、すでに300名を超え、400名近くの方が登録されていますので、ご興味ある方はご参加ください。勉強会の情報や、たまに質問のやりとりがあって面白いし、気づきもあると思います。

Ansible Slackは以下から参加可能です。どなたでもお気軽にご利用ください。 http://bit.ly/slack-ansiblejp

Red Hat Tech Night

Ansibleのコミュニティ運営に積極的に携わっていた経験を認められたのか、11月のレッドハットフォーラム後に実施したRed Hat Tech Nightのお手伝いと司会っぽいことをしました(司会は本当は違う人w)。

※Tech Nightが実施された舞台裏話はこちら

Red Hat Tech Nightの実施がほぼ決定した矢先に、Connpassのグループを作ろうと言う話になった秒でサイトを作ったり。まあ、だいたい6割くらいの出来でいいので、とりあえず作ってというスタンスで何回か微修正リクエストも対応したり。また、なぜかステッカーを作ろうということになり、何かメッセージ性のあるメッセージをチャットで教えてもらって、それをわからないながら昔少しいじったことのあるフォトショもどきで作成し、業者に依頼とか。割と謎の業者になりつつあると思ったイベントでした笑

Red Hat Tech Nightのメディアでの取り上げはこちら

Software Design12月号

Ansible漫画を会社の企画で作成して、コミュニティのメンバーに初公開した際にいろいろイジられたのですが、Facebookで写真がでまわり、技術評論社の方の目にとまりました。確か、コメント欄に「某弊社の付録に・・笑」みたいなコメントがあったと思うのですが、それを見た僕はまたもや秒で編集者に突撃。

当初は付録だけのつもりでしたら、特集記事の企画のお話をもらい、僕をハブにレッドハットのエンジニアとコミュニティのメンバーにも声をかけさせてもらいました。それで生まれたSoftware Designの12月号。というコミュニティ活動とは違うかもしれませんが、企画を作って、執筆の機会を作ってもらうということをしました。

Software Design 12月号

どのような気づきがあったのか?

エンジニアの学習意欲に驚愕

Techな勉強会への参加はしたことがあるのですが、継続して参加すると毎回参加してくれる人だったり、毎回LTに申し込んでくれる人だったり色々な方がいらっしゃいます。

勉強会で発信することだけでなく、セミナー中にTwitterで実況している人や後日ブログにまとめている人もいて、一貫してエンジニアの人たちは発信することをバリューとしていて、それをすることで知識を自分のものにしているのだろうなと感じています。それはもちろん転職活動や今後のキャリアプランにも活かしていると思います。

こういった、5分のLTでもアウトプットし続けて自らを磨いているということを尊敬しますし、自分自身でも発信することのバリューを感じ、見習いはじめました。非エンジニア系でも、マーケティング関連やビジネス関連でも夜のコミュニティ勉強会というのが流行ってきているようで、そのようなイベントに僕も参加するようになりました。(まだ発信はしていませんが)

実際に使う人の課題を理解

これはコミュニティマーケティング的な観点になってしまいますが、やはりリアルに取り組んでいる人の声が聞けるので、ビジネス開発として、ユーザの意見を理解するのにも役に立っています。

9月に実施したAnsible Nightでは、「エクセルSIer 」というパワーワードに気づいたり、まあそういう小さなことでも気づきがあります。

正直OSSの領域においてコミュニティのユーザがそのままエンタープライズ版を買ってくれるとは思っていないので、営業活動はしていないですが、実際に使い手になる方の意見を聞けるという観点で参考にさせていただいています。

運営大変

運営したことのある人であれば身にしみて感じているかと思いますが、企画から調整まで結構大変です。しかもそれをはじめてやる、とかいうと色々検討しなければならなかったりと労力がかかります。また、講演する人自身が運営するとなると、スライドも作らないといけないし大変だーってなってしまうのではないかと思います。

僕は毎回運営に関わるようにしていて、会場の案内、アジェンダ紹介、最後にアンケートを告知するとかいうことを何度も経験しているので、その辺はもう中村に任せてもらって、講演者はやりたいようにやってもらえるという状態を作っていきました。

こうすることで、なるべくエンジニアの人たちが楽しく勉強会を開催できるようにしていっています。

場所の必要性

コミュニティ運営についてはたまーに気づいたときに考えるようにしているのですが、『WE ARE LONELY,BUT NOT ALONE. ~現代の孤独と持続可能な経済圏としてのコミュニティ~』という本を読んだりとたまに外部の情報も参考にしていたりします。この書籍のなかでは、「立ち上げ→安心安全の確保→熱狂→拡大」というステップで盛り上げていくのが良いというように書いてあります。Ansibleに関してはすでに熱狂モードに入っている気はするものの、やっぱり参加・発信するエンジニアが心理的な安全を感じて参加する場所にしたいなということは気にしています。なので、基本的には営業活動は禁止ですし、すべてのアウトプットが受け入れられる場であることを毎回強調しています。

また、個人的には「サードプレイス」という概念が好きで(会社や自宅以外の3番目の場所)、こういった場で情報共有したりすることができるといいのだろうなと考えています。コミュニティで以前から活動されている方が命名された、Ansible飯という言葉を使わせてもらって、Ansible Nightやもくもく会のあとにそういう場を作っていたりします。僕はテクニカルになると追いつけなくなることもありますが、一緒にいることは楽しく感じるので全然不快ではないです。Slackもバーチャルな場として提供したイメージです

そんな場を引き続き作っていけたらなと思っています。

今後したいこと

レッドハットの日本法人では、オープンソースの認知度をあげる社内有志のチームが昨年から作られました。この活動の中で、昨年からOSSコミュニティ活動へ少ないながらも予算をつけてもらえるようになったりしてきています。その社内有志メンバーとして僕も今年から参加していて、今年はこの赤帽エンジニアブログも含めて外に対してレッドハットの技術情報だけでなく、コミュニティ活動をしていることや、そのノウハウも含めて発信していこうということを目標としています。

上述したように1年くらいコミュニティ運営に携わってきたので、運営ノウハウについては、これから体裁整えて60点くらいの出来でもいいので展開していこうと思っています。それをベースにレッドハットが関われない会であっても、そのノウハウが活かせるようになればいいなと思っています

また、継続してエンジニアの方々がインプット・アウトプットを行い、さらには活躍できるような環境を提供することが、世界平和に繋がると思っています。なので、そのようなことがスムーズにできるように、できることはなんでもヘルプしていければと思っています。コミュニティはレッドハットの持ち物ではなく、エンジニアみなさんの「場」ですので、その「場」の平和を引き続き守っていきたいな。

というわけで、ハッピー・コミュニティ活動!

次は、2日目、@tadayosiさんにパスします! 赤帽エンジニア Advent Calendar 2018

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* 各記事は著者の見解によるものでありその所属組織を代表する公式なものではありません。その内容については非公式見解を含みます。