Migration Toolkit for Applicationsを使って組織のシステムのクラウドへの移行を促進させる 2.インストール編

OpenShift AppDev SSAの瀬戸です。

Migration Toolkit for Applications(以下MTA)という製品をご存知でしょうか?Red Hatが出している静的解析ツールで、古いバージョンのJBoss EAPやOpenJDKなどのミドルウェアで動いているアプリケーションを最新のミドルウェア上で動作させるために必要な修正を洗い出してくれます。

実は、それだけではなく、組織のアプリケーションのモダナイゼーションのサポートもしてくれます。この記事では3回にわけて、どういった機能があるのかから実際の使い方をご紹介したいと思います。

ちなみに、MTAは無償でお使いいただくことが可能です。

前回はMTAの概要を説明しました。今回は使うまでの準備(インストール)をしたいと思います。

前回の記事はこちら。

rheb.hatenablog.com

この記事では OpenShift 4.15/MTA 7.0.1を使用しています。バージョンによって多少挙動が違う可能性がありますので必要に応じて使用されるバージョンのマニュアルをご参照ください。

MTAの全機能を使うためにはOpenShiftが必要です。また、デフォルトで4vCPUと8Gバイト以上のメモリ割り当て、150 Gバイト以上の永続ストレージの割り当て*1と、インストール時に cluster-admin 権限が必要になります。詳細についてはドキュメントを参照してください。

access.redhat.com

OpenShiftのサブスクリプションが足りていない場合は、OpenShift Localにインストールすることも可能です。OpenShift LocalはHyper-V上にインストールできるOpenShiftの簡易的なお試し環境です。 ただ、Windows上のOpenShift Local 4.14.2で試したところ、デフォルトのメモリ割り当てが小さするのと、デフォルトで作成される仮想ディスクファイル(vhdx)が小さすぎて拡張が行えない問題が発生しました。手動でメモリ割り当て*2や、vhdxのファイルサイズ*3を増やしてあげる必要がありました。ご注意ください。 メモリ割り当ての増やし方は特殊な方法が必要になるので以下のドキュメントを参照してください。vhdxの容量についてはHyper-Vの管理コンソールから増やすことが可能です。

access.redhat.com

access.redhat.com

OpenShift Localについては以下のページからダウンロードが可能です。

console.redhat.com

MTAのインストール

MTAはOpenShift上のOperatorHubからインストールすることができます。 cluster-admin 権限を持ったユーザーでログインし、右のメニューからOperator→OperatorHubを選択し、Migration Toolkit for Applicationsで検索をしてください。

OperatorHub

選択するとインストール画面が表示されるので、そのままインストールを押します。

インストール画面

次の画面でもそのままインストールボタンを押します。

インストール設定

そのままインストールがはじまります。

インストール中

そのうち、Tackleの作成ボタンが表示されます。必要な依存リソースなのでTackleの作成ボタンを押します。

Tackleのインストール

Tackleの作成画面が開くので、そのまま作成ボタンを押します。

Tackleの作成

10分ぐらい待つと環境が完成します。Developerパースペクティブからトポロジーを開いて、openshift-mtaプロジェクトを選択します。

トポロジーの選択

インストールが完了している場合は以下のように表示されます。すべてのpodが青くなっている 事を確認したうえで、mta-uiのURLを開くを選択します。

MTAのURLを開く(mta-uiと名前の付いたpodの右上のボタン)

※いつまで待っても青くならない場合はリソースが不足していることが考えられます。メモリや永続化ボリュームの割り当て量が問題ないことを確認してください。

クリックするとログイン画面が表示されます。

Admin / Passw0rd! でログインすることができます。

ログイン

初回はパスワードの変更画面が表示されますので、好きなパスワードを入力してください。

パスワード変更画面

そうすることで、ログインすることができました。

ログイン後初期画面

まとめ

これでMTAを使用し始める準備が整いました。次回は実際にMTAを操作していきます。

続きはこちらから。

rheb.hatenablog.com

*1:設定を見直すことで最低40Gバイト以上の永続ストレージで動作させることが可能ですが、設定変更方法については割愛します。

*2:余裕をもって20Gまで増やしました。

*3:余裕をもって200Gまで増やしました。

* 各記事は著者の見解によるものでありその所属組織を代表する公式なものではありません。その内容については非公式見解を含みます。