Red Hat OpenStack Platform 最近の動向

OpenStackやOpenShiftなどのCloud製品を担当しているソリューションアーキテクトの輿水です。

今回は半年ぶりくらいにRed Hat OpenStack Platform(以降RHOSP)の話題を。RHOSP 15まではコミュニティ版OpenStackに対応するように半年ごとにリリースされておりましたが、RHOSP 16からは、すべてのコミュニティリリースに対応するのではなく特定のリリースをベースに選択し、長期間のサポートを提供するロングライフリリースとする方針になっています。コミュニティ版のリリースに追従しなくなったことで、RHOSPの次のバージョンのベースが何で、いつ頃リリースされるのか?という点が見えづらいとも言われますので、公開可能な情報はなるべく発信したいと思ってはおります。


  • コミュニティリリースの状況
  • RHOSPのライフサイクル
  • RHOSPアップグレードパス

コミュニティリリースの状況

コミュニティのOpenStackの現在のリリース状況と今後のリリースを見てみると、Yリリースまでが予定されております。 参照元:OpenStack Releases

  • Train 2019年10月
  • Ussuri 2020年5月
  • Victoria 2020年10月
  • Wallaby 2021年9月→現在の最新
  • Xena 2021年10月予定
  • Yoga 2022年3月予定

RHOSP 16はTリリースであるTrainがベースであり、UリリースのUssuriの新機能の一部がバックポートされています。「RHOSP 17は、いつ頃リリースで、何がベースですか?」という質問もいただくのですが、長期間サポートのロングライフリリースですという事以外は、現時点では情報公開されておりません。

RHOSPのライフサイクル

ライフサイクルに関するドキュメントには英語版日本語版があるのですが、英語版が最新情報です。RHOSP 16以降は、16.0、16.1のようなマイナーバージョンが存在します。それぞれでサポート期間が異なりますが、RHOSP 16という括りでは16.0の一般提供開始日である2020年2月20日から16.2のELS終了日である2025年4月30日までの5年の長期サポートを提供します。16をご利用で2024年以降もサポートが必要な場合は、16.2を利用していただく必要があります。

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バージョン 一般提供開始日 フルサポート終了日 サードパーティ認定期間終了日 メンテナンスサポート終了日 ライフサイクル終了日 延長ライフサイクルサポート(ELS)アドオン終了日
フルサポート
16.2 2021年9月15日 2023年4月30日 2022年5月31日 2024年4月30日 2024年4月30日 2025年4月30日
16.1 2020年7月29日 2022年4月30日 2021年5月31日 2024年4月30日 2024年4月30日 -
16.0 2020年2月20日 2020年10月27日 - - - -
延長サポート
13 2018年6月27日 2019年12月27日 2019年12月27日 2021年6月27日 2021年6月27日 2023年6月27日
10 2016年12月15日 2018年6月16日 2018年12月31日 2019年12月16日 2019年12月16日 2021年12月15日

RHOSPアップグレードパス

現在13をご利用中で延長ライフサイクルアドオンを追加していただいている場合は、2023年6月27日まではサポートされますので、その間に16.1以降への移行をご検討ください(タイミングによっては17がリリースされて13→17かもしれません)。13から16.1へのインプレースアップグレードのフレームワークは提供されています。

アップグレードに際しては以下の内容はあらかじめご確認ください

  • 現在使用しているOSPのコンポーネントが16でもサポート対象である
  • ワークロードが16に対応しているか
    • 特にVNF(Virtual Network Function )はベンダーによって対応状況が異なるので要注意
  • Ceph以外の3rdPartyのストレージを使用している場合は、プラグインが16に対応して認定されているか
  • 16ではネットワークはOpen Virtual Networking (OVN)がデフォルトのメカニズムドライバーになってる
  • ML2/OVS からML2/OVNへの移行については弊社TAMまたはGPSとの連携が必要(「Open Virtual Network を使用したネットワーク(第3章)」に「ML2/OVS から ML2/OVN への移行を試みる前に、事前サポートケースを作成する必要があります。事前サポートケースを作成しない場合、Red Hat では移行をサポートしません」という記載あり)
  • 3rdPartyのSDNを利用している場合は、16に対応して認定されているか

10をご利用の場合は、今年の年末には延長ライフサイクルも終了となります。10→13のインプレースアップグレード方法(Fast Forward Upgrade)も提供されております。


RHOSP 16.2の詳細については、Red Hatから公式の発表が出るまでは大っぴらに書けないため、公式発表後にご紹介します。

* 各記事は著者の見解によるものでありその所属組織を代表する公式なものではありません。その内容については非公式見解を含みます。