Red Hat OpenStack Platform 16.1 紹介

OpenStackを担当しているソリューションアーキテクトの輿水です。

Red Hat OpenStack Platform ライフサイクル

コミュニティ版TrainをベースとしたRed Hat OpenStack Platform 16(以降RHOSPとします)のマイナーアップデートバージョンである16.1がが7月29日にリリースされました。RHOSP 16はロングライフリリースですが、フルサポート対象である16.0のサポート期限は2020年10月27日までとなっており、長期サポートを受けるためには16.1にする必要があります。また、延長ライフサイクルサポート(ELS)は16.1の次のマイナーバージョンが対象予定となっており、これを利用した場合のサポート期限は2025年5月30日です。RHOSP 16全体としては5年間のサポートになっています。

RHOSPはRed Hat Enterprise Linux(以降RHELとします)のひとつのメジャーリリースバージョンのみをサポートします。RHOSPのバージョンとRHELのバージョンは密接に結びついており、各RHOSPに対応するRHELは以下のとおりです。

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現在お使いいただいているOpenStack環境について、サポート期限とシステムのライフサイクルを鑑みて、必要があればアップグレードのご検討をお願いいたします。

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ロングライフバージョンからロングライフバージョンへのアップグレード

RHOSP 10から RHOSP 13へのアップグレードフレームワークはFast Forward Upgradeと呼ばれ、既に提供されております。RHOSP 13と16間のアップグレードはRHOSP 13からRHOSP 16.1がサポート対象となり、そのアップグレードフレームワークがRHOSP 16.1で提供されました。RHOSP 13からRHOSP 16.1へのアップグレードにはRHEL 7から RHEL 8へのアップグレードが含まれます。なお、RHOSP 13からRHOSP 16.0へのアップグレードはサポート対象外ですのでご注意ください。

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Red Hat OpenStack Platformのライフサイクルに関する公開ドキュメントは以下になります。

access.redhat.com

RHOSP 16.1機能ハイライト

Edge/DCN機能強化

「Red Hat Summit 2020セッション Red Hat OpenStack Platform 16 紹介 (2)」でDistributed Compute Nodes(DCN)について触れましたが、16.1では16.0でテクノロジープレビューであった機能がGAになり機能改善・強化がなされています。例えば、以前はエッジサイトで利用できるストレージはローカルのephemeralのみでしたが、16.1ではpersistentストレージが必要なワークロードの稼働が可能になりました。

よりスケーラブルに

マルチスタックデプロイとマルチCellのサポートにより管理性が向上しました。マルチスタックのデプロイが可能になったことで、ひとつひとつのクラウドを個別に管理するのではなく単一のDirectorで管理することが可能になり、管理にかかるコストを削減できます。また、障害ドメインを分割することで安定性を向上させます。

効率の向上

例えばCPUが固定されたインスタンスやSR-IOV利用のインスタンスなどセンシティブなワークロードのマイグレーションを容易にすることで、ワークロードへの影響を減らしメンテナンスを容易にする仕組みを取り入れています。

RHOSPの今後

RHOSP 16以前は、RHOSPは半年ごとにリリースされていましたが、16からはリリースサイクルが変更になっており基本的にロングライフリリースのみになります。機能改善などはマイナーアップデートで提供される予定です。コンピュートやネットワーク、ストレージに関連する機能について、実装やサポート状況についてより詳しく知りたい場合は、お気軽にお問い合わせください。

* 各記事は著者の見解によるものでありその所属組織を代表する公式なものではありません。その内容については非公式見解を含みます。