OpenShift で始めるローコード開発

こんにちは、ソリューションアーキテクトの蒸野(ムシノ)です。

今回からOpenShift上でローコードを始める場合どのような方法があるかということをテーマにご紹介をしてみたいと思います。
少し長いので、数回に渡ってお伝えさせていただけたらと考えています。

ローコードのビジネスメリット

いろんな記事で言及されている内容ですのでここでは簡単にまとめる程度にしますが、ノーコード・ローコードの市場規模は2022年には2兆円を超えると言われています。

ガートナーの予想では2025年には開発アプリケーションの70%がノーコード・ローコードに切り替わると予想されています。 また、IT部門に属さないシチズンデベロッパーの台頭が予測され、その数はITエンジニアの4倍の数に達すると言われています。

なんとなく分かったようで、理解しづらい、具体的に分かりづらい点もあるかもしれません。
では次のようなメリットではどうでしょうか?

  • 非エンジニアでもアプリ開発が可能であり、開発速度が圧倒的に早い
  • ユーザは開発ベンダーに「できません」と言われることもなく、理想のアプリを入手できる
  • 2025年の崖に対応すべくデジタル人材不足へ対応できる、可能性がある
  • 老朽化したシステム刷新への対応力が維持できる、可能性がある

特に「2025年の崖」に対処できている企業はいまだ一部の企業に留まっている状況かと思います。
一般的に考えると未対応企業ではIT投資額を減らしていくことが考えられます。するとどうしても基幹システム周辺の老朽化したシステムに予算を割り当てることは難しくなります。 ここにノーコード・ローコードなどの利用者が利用する立場からアプリケーション開発、保守を行うというシナリオが現実性を帯びてきます。 シチズンデベロッパーが開発可能なシステム領域を整備し、ローコード開発・保守プロセスを仕掛けていく良いタイミングではないでしょうか。

ローコードプラットフォームの Mendix

Mendix はグローバルではローコードプラットフォームとして認知されている製品であり、日本でも取り扱い事例や開発プラットフォームに採用するなどの動きが活発になってきています。 mendix.buildsystem.jp

ガートナー、フォレスターなどではローコードプラットフォームのリーダとしても位置づけています。 また、重要な点としてはマルチプラットフォームに対応している点があります。 ローコードプラットフォームでマルチプラットフォームで対応している製品は少なく、Mendix のアプローチは弊社のマルチクラウドハイブリットクラウド という考え方にマッチします。

特記事項

ここではあくまでもOpenShiftに統合できるローコードプラットフォームといった観点から本文に掲載しております。 同製品の詳細については本記事には掲載しないことご承知いただけたらと思います。 また、Mendixに関するご質問についてもお受けすることができないため、Mendixサポートや取り扱い企業にご連絡のほどお願いいたします。

Mendixのユースケース

次にMendixはどんなアプリケーションを開発できるのかが気になるところですよね。
Mendix の開発アプリケーションソリューションギャラリーがありますのでこちらを参照ください。

www.mendix.com

Mendixのアーキテクチャ

Mendixは開発ポータルを提供しその上で、「Mendix Studio」「Mendix Studio Pro」と行った開発エディタを使うことでアプリケーションの開発が可能です。 www.mendix.com

開発後アプリケーションを公開することになりますが、MendixランタイムはOpenShiftやKubernetesなど最新のクラウドプラットフォームと互換性のあるコンテナで動作するように設計されています。そのため先程言及していたように、プライベートクラウド、ハイブリットクラウド、マルチクラウドなどの環境でMendixアプリを実行させることができます。

OpenShift上にデプロイできるローコードプラットフォームのメリット

では、OpenShiftにデプロイした場合のメリットを考えてみます。

  • ローコードの開発効率に加え、開発基盤としてのアジリティを期待できる
  • システムの自律運用化、運用一貫性による運用効率が期待できる
  • 公開環境構築の速度向上、CICDパイプライン短縮によるリリース速度向上が図れる
  • マルチクラウド・ハイブリッドクラウドに対応するため、アプリケーションのポータビリティ性が維持できる

このようにローコードの強みとOpenShiftのメリットの相乗効果によるメリットが考えられます。

MendixのOpenShiftデプロイ手順

前置きが長くなってしまいましたが、それではMendixアプリをOpenShift上に公開する場合の方法について実施してみたいと思います。 今回は事前準備編としてサンプルアプリを作成するまでとします。

1.Mendixアプリの作成

1.1.アカウント作成

まず最初は下記のリンクから、Freeアプリが作成できるアカウントを取得します。
https://signup.mendix.com/link/signup/?source=direct

1.2.開発ポータルへのログイン

必要項目を入力すれば無事アカウントが作成されるはずですので、 Mendix開発ポータルにログインしてみましょう。
最初「Developer Portal」は下記のような画面になっているかと思います。 環境によっては「Studio Tour」アプリもなくブランクになっているかもしれません。

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1.3.サンプルアプリの作成

それではOpenShfitにPublishするサンプルアプリを作成してみましょう。
まずは「Developer Portal」の右端にある「Create App」をクリックします。

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1.4.アプリテンプレートの選択

ブランクのアプリか、アプリテンプレートを選べる画面が表示されます。
今回はアプリテンプレートから「Timesheet Approval App」を選んでみます。

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1.5.サンプルアプリの初期設定

「Timesheet Approval App」にマウスオーバすると「Select Template」が表示されるのでクリックします。
テンプレートアプリの詳細画面に遷移するので、右下に表示されている「Select This Template」でアプリを作成します。

アプリケーション名とアプリケーションアイコンのカスタマイズ画面が表示されますので、任意の名称とアイコンを選択します。 今回はアプリ名を「TimeSheet-TestApp」とし、アイコンカラーをレッド、アイコンをカレンダーにセットします。

これでサンプルアプリを作成する準備が整いました。
それでは右下にある「Create App」をクリックしてアプリを作成します。

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アプリの作成に数分がかかりますので、作成されるまで少し待ちます。

1.6.サンプルアプリのプレビュー

アプリが作成されると下記のような画面が表示されると思います。
ここで作成されたアプリを少し動作確認してみましょう。

右上にある「Edit in Studio」をクリックします。

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すると下記のようなアプリを編集できるエディター画面が表示されるはずです。
ここで右上にある「Preview」をクリックして、アプリの動作を確認してみます。

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1.7.サンプルアプリの確認

プレビュー画面でアプリが表示されていると思います。
試しに「New」でタイムシートを作成するなど、一通りアプリを試してみましょう。

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ここまでアプリの詳細な設定やコードの修正などは全く行っていませんが、それなりに動作可能なアプリができあがっています。

次回以降

いかがでしたでしょうか?
今回はまずはローコードのメリットやローコードプラットフォームの紹介、サンプルアプリ作成といった流れまでをご紹介させて頂きました。 それでは次回は、OpenShift 上にMendixで作成したサンプルアプリを動かすよう各種設定を行っていきます。

* 各記事は著者の見解によるものでありその所属組織を代表する公式なものではありません。その内容については非公式見解を含みます。