OpenJDK 8 and 11: まだまだ安心して使える

Red Hat で Solution Architect として OpenJDK を担当している伊藤ちひろ(@chiroito)です。

この記事は、Red Hat Developerのブログ記事、OpenJDK 8 and 11: Still in safe hands | Red Hat Developer の翻訳記事です。


https://developers.redhat.com/sites/default/files/styles/article_feature/public/blog/2019/05/RedHatDeveloper_FeaturedImage.png?itok=l9zbn22E

2018年、オラクルは商用ユーザー向けにJava SE 8の無料公開アップデートと自動更新を2019年1月末までしか提供しないと発表しました。Java 8は非常に重要なプラットフォームで、何百万人ものプログラマーが利用しています。そのため、これは大きな問題でした。Javaコミュニティは、このギャップを埋める必要がありました。

2019年の2月、私はOpenJDK 8 アップデートリリースプロジェクトの新しいリーダに任命されました。その数週間後、私はOpenJDK 11 アップデートプロジェクトの新しいリーダに任命されました。これはOpenJDKとJava SEの歴史において重要な節目となります。なぜなら、Oracle社以外の社員が現在の長期的なOpenJDKリリースプロジェクトを率いるのは初めてのことです。JDK 8は現在も業界で多く使用されているJavaリリースであり、JDK 11は現在の長期メンテナンス・リリースです。

私の目の前でJDK8uとJDK11uの最初のリリースが行われてから2週間が経ちました。このプロセスは非常にうまくいったと思います。しかし、開発者にとっては全くの順風満帆ではありませんでした。とは言っても、予定通りの日にリリースを行い、今のところ大きな問題はありません。

Oracle社が商用ユーザーにJDKの長期アップデート用バイナリを無料で提供しなくなるという話がかなり出ていました。中にはパニックになりそうなものもありました。当時、私はその心配は見当違いだと思っていました。今回のリリースで、それが証明されたと思います。

Red Hatの役割

もちろん、私一人でやっているわけではありません。Red HatにはOpenJDK開発者の大規模なチームがありますし、Red Hat以外の多くの人たちもリリースに取り組んでいます。また、非常に機密性の高いセキュリティ作業を行っている人もいますが、これは準備が整うまで見ることができません。

この中でのRed Hatの役割を明確にすることは重要です。Red Hatは、OpenJDKの最大の貢献者の1つであり、何年も前からそうでしたし、これからもそうであり続けるでしょう。しかし、私たちはOpenJDKのアップデートプロジェクトを「引き継いだ」わけではありませんし、そうしたいとも思っていません。OpenJDKにおける私たちの役割は、他の多くのプロジェクトと同様、顧客、貢献者、パートナーのコミュニティの触媒となることです。これは、プロジェクトの利益のために、他社(中には競合他社もある)と協力することを意味します。Red HatがOpenJDKのアップデートに加える変更は、多くのソースからのパッチに基づいています。もちろん、その多くは私たち自身で作成したものですが、OpenJDKのすべての貢献者からもパッチを受け取っています。

プロジェクトリーダとしての私の役割は、これらの貴重な宝石であるOpenJDKのアップデートを守るための最善の方法を監督し、奨励し、時には決定を下すことです。私はどのベンダにも有利にならないようにそうしなければなりません。私は公平でなければならないだけでなく、誰からもそう見られていなければなりません。このように行動することは、Red Hatにとって最善の利益となります。皆にとってより良いOpenJDKは、より多くのユーザとより多くの貢献者を促します。最終的には、Red Hatにとっての最良の結果は、誰にとっても最良の結果なのです。

* 各記事は著者の見解によるものでありその所属組織を代表する公式なものではありません。その内容については非公式見解を含みます。