RHEL 9をminimal+Standardでインストールしてでてくるプロセス全部紹介する

Red Hatの森若です。

「RHELをインストールしたらよくわからない物がいっぱい動いてるなぁ」と思う方むけの記事です。 RHEL 9を最小構成(minimal + Standard)でインストールした時にデフォルトで動作しているプロセスをそれぞれ1〜2行で紹介してみます。

minimal + Standardを選択します

インストーラ内でRed Hat Subscription Management(RHSM)とRed Hat Insightsへ登録します。 インストールが完了したところでさっそくコンソールからログインして、pstreeコマンドでプロセスの様子を見てみます。

実質的に何もしていませんから、プロセスの数はそれほど多くありません。

systemd-+-NetworkManager---2*[{NetworkManager}]
        |-atd
        |-auditd-+-sedispatch
        |        `-2*[{auditd}]
        |-chronyd
        |-crond
        |-dbus-broker-lau---dbus-broker
        |-firewalld---{firewalld}
        |-irqbalance---{irqbalance}
        |-login---bash---pstree
        |-lsmd
        |-polkitd---11*[{polkitd}]
        |-rhsmcertd
        |-rsyslogd---2*[{rsyslogd}]
        |-sshd
        |-systemd---(sd-pam)
        |-systemd-journal
        |-systemd-logind
        |-systemd-udevd
        `-tuned---3*[{tuned}]

システムの基本的な管理を行うためのサービス群:

  • systemd: システム全体の起動・終了、サービスの起動・終了などを管理する
  • NetworkManager: ネットワーク接続の設定管理・有効化・無効化を行う
  • dbus-broker-launch, dbus-broker: 1システム内でのメッセージ送受信を行うdbusサービスを提供。systemdやNetworkManagerなどはdbus経由でAPI(application program interface)を提供している。
  • polkitd: dbus経由で一般ユーザからシステムのサービスへリクエストを送った時に権限管理ポリシーを処理する。
  • systemd-udevd: デバイスの挿抜や状態変更などのイベントをうけてコマンドを実行したりファイル操作を行う。
  • systemd-logind: ユーザのセッション、linuxコンソールに対応するagettyの起動、電源管理API、ユーザ毎のデバイスアクセス管理などを行う。

自動的なチューニングを行うサービス群:

  • irqbalance: ハードウェアからの割り込みを処理するCPUを振り分けるデーモン。無いとほとんどの割り込みがCPU 0に割り当てられるので起動推奨。
  • tuned: システムの自動チューニングを行うデーモン。ハードウェア環境から該当しそうなプロファイルを自動選択します。

ログの記録に関係するサービス群:

  • auditd: linux kernelやプロセスからの監査ログの受取とストレージへの記録を行うデーモン
  • sedispatch: SELinuxのAVC(access vector cache)ログが監査ログへ出力されると、読みやすいログを出力するsetroubleshootdを呼び出す。
  • systemd-journal: 各種ログ出力をうけつけ、journalとよばれるデータベースへ保存するデーモン
  • rsyslogd: systemd-journaldのjournalを設定に従いフィルタして/var/log/messagesのようなファイルへ保存したり他のホストへ転送する。他ホストからのsyslogメッセージの受け付けも行う。

(場合によっては)無くてもなんとかなるサービス群:

  • chronyd: NTP(network time protocol)による時刻同期を行うデーモン。時刻がずれると証明書が正しく処理できなくなるため起動推奨。
  • atd: atもしくはbatchコマンドによるジョブ実行のためのデーモン
  • crond: 定期実行をを行うためのデーモン
  • sshd: ssh(secure shell)デーモン。システム外部からのログインをうけつけ、認証したのちシェルを起動して対話的に利用するためのサービス。
  • firewalld: ファイアウォールを設定・管理するデーモン
  • lsmd: libstoragemgmt(ストレージアレイ管理用ライブラリ)のプラグイン用デーモン。

RHEL特有のサービス:

  • rhsmcertd: RHSMで利用する証明書の定期更新を行うデーモン。RHSMかRed Hat Satelliteを利用する場合には必須。

ログインに関係するプロセス群:

  • login: バナーとログインプロンプトを表示してユーザのログインを待ちうけるプロセス。
  • (sd-pam): systemdでPAMセッションを追跡するために利用されるプロセス。
  • bash: シェル
  • pstree: 実行中のpstreeコマンド

気になるものや知らなかったものがあったら調べてみましょう。

* 各記事は著者の見解によるものでありその所属組織を代表する公式なものではありません。その内容については非公式見解を含みます。