Red Hat OpenShift Platform on AWS (ROSA)ちょいネタ

OpenStackやOpenShiftなどのCloud製品を担当しているソリューションアーキテクトの輿水です。

Red Hat OpenShift Platform on AWS、略称ROSA、Red Hat OpenShiftのyoutubeに上がっているハンズオン動画を見ると「ローザ」と言ってる気がします。

www.youtube.com

今までもAWS上でOpenShiftが動いてのでは?と思われるかもしれませんが、今まではSelf-managedで利用者自身がAWS上にOpenShift Container Platformインストールするか、クラスターの作成・運用はRed Hatが行うOpenShift Dedicatedの2択でした。利用者がAWSマネージメントコンソールやCLIコマンド(rosaコマンド)を用いて自由にクラスター作成できるのがROSAです。

ROSAのリリースにあたって「ROSA無料トライアル可能ですか?」「OpenShift Container Platformのサブスクリプションを既に持っていますがROSAで使えますか?」といったFAQがありますが、回答は以下です。

  • ROSAの無料トライアルはない
  • OpenShift Dedicatedは60日間無料トライアル有り(OpenShiftのトライアルであり、AWSのインスタンス料金は必要)
  • Self-managedで利用していたOpenShift Container PlatformのサブスクリプションをROSAに転用することはできない

このブログでも既に複数の人がROSAの記事を書いていて、今さら書くことがあるのかと言われそうですが、今回は「初めてAWSを使う」という前提で「それはROSAの使い方というよりもはやAWSの使い方じゃないか」的なことを書いてみます。

アカウントのクォータ

ROSAクラスターを作成する際に、事前チェックとして$ rosa verify quota --region=リージョン名を実行します。作ったばかりで何もしていないアカウントで実行すると「クォータが足りません」とメッセージが出ます。

$ rosa verify quota --region=ap-northeast-1
I: Validating AWS quota...
E: Insufficient AWS quotas
E: Service ec2 quota code L-1216C47A Running On-Demand Standard (A, C, D, H, I, M, R, T, Z) instances not valid, expected quota of at least 100, but got 64

少なくともOn-Demand Standard instancesが100必要とのことで、AWSマネージメントコンソールで「クォータの引き上げのリクエスト」を実施してクォータの上限を上げておきます。リクエストを出して数分〜数十分で引き上げられます。

ROSAのドキュメント「Red Hat OpenShift Service on AWS Documentation」の中の「Required AWS service quotas」という章にROSAでOpehshiftを使う場合の必要な「Quota name / Service code / Quota code / Minimum required value / Recommended value」が記載されています。クラスター作成時だけでなく、利用してゆくうちにクォータにひっかかる場合もあるかと思いますので、必要に応じて設定してください。

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Red Hat OpenShift Platform on AWS コスト

利用料金に関しては Red Hat OpenShift Service on AWSに「Red Hat OpenShift Service on AWS pricing」の記載があります。マスターノードとインフラノードの費用はコントロールプレーンのcluster feeになってます。料金設定としては時間単位以外に1年・3年があり契約期間が長いほどディスカウントされます。デフォルトで作成すると以下のインスタンスのマスターノード×3,インフラノード×2、ワーカーノード×2が作成されます。他にストレージやロードバランサーの費用なども従量課金されるのは他のクラウドと同様です。

ノード インスタンス vCPU RAM DISK インスタンス料金 OpenShift料金
マスターノード m5.xlarge minimum 4 16GB - $0.248/hour $0.03/hour
インフラノード r5.xlarge minimum 4 32GB - $0.304/hour ↑に含む
ワーカーノード m5.xlarge minimum 4 16GB - $0.248/hour $0.171/hour

※マスターノードとインフラノードのOpenShift料金は1クラスターあたりの費用でマスター3台とインフラ2台分を含む費用

インフラノードはOpenShift DedicadeやROSAでは標準構成に入っており、以下のようなユーザーのワークロード以外の以下のような機能を集約しています。

  • Red Hat OpenShift に含まれるレジストリ
  • ルーター
  • OpenShift クラスタモニタリング
  • OpenShift ログ集約
  • Red Hat Quay
  • Red Hat OpenShift Container Storage
  • Red Hat Advanced Cluster Manager

ちなみに利用料金明細を見ると m5.large ($0.124/hour)がちょっとだけ使われていますが、これはOpenShiftをデプロイする際に一時的に使用されるbootstrapノードです。クラスター作成後は削除されますので、以降は費用はかかりません。

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▼利用料金明細 f:id:mkoshimizu:20210629195415p:plain

* 各記事は著者の見解によるものでありその所属組織を代表する公式なものではありません。その内容については非公式見解を含みます。