AWS Marketplaceで購入できるRed Hat AI

Red Hatの小島です。

Red Hatは生成AIモデルや予測AIモデルの学習や推論を可能にするための、統合AIプラットフォーム(Red Hat AI)を提供しています。

www.redhat.com

Red Hat AIはAWS Marketplaceで購入して利用できるようになっています。この場合、Red Hat AIのサポートはRed Hatが、EC2インスタンスを含むAWSインフラのサポートはAWSが提供します。本記事ではAWS Marketplaceから購入できるRed Hat AIのサブスクリプションについて、2025年10月時点の情報をご紹介します。

Red Hat AIだけでなく他のサービスも利用可能になっているので、ぜひこちらもご確認ください。

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AWS Marketplaceで購入できるRed Hat Entetprise Linux AIサブスクリプション (RHEL AI)

RHEL AIは大規模言語モデル(LLM)をシームレスに開発/テスト/実行するための機能が統合されたRHELです。RHEL AIにはオープンソースのLLMであるGraniteも最初から含まれており、Graniteの操作やカスタマイズが簡単に実行できるようにするツールも提供しています。また、2025年10月時点ではRed Hatがサポートする構成ではありませんが、RHEL AIではGranite以外のLLMも実行できます。

RHEL AIの概要やAWS上でのRHEL AI実行についての詳細は、次のブログにまとまっています。

qiita.com

上記のブログでは、Red Hatから直接購入したRHEL AIのサブスクリプションをAWS上に持ち込んで利用する(Bring Your Own Subscription. BYOS)シナリオを想定していますが、本記事ではAWS Marketplaceから購入して利用する従量課金制(Pay as you go. PAYG)のRHEL AIの利用方法をご紹介します。

利用料金

AWS MarketplaceのカタログからRHEL AIを購入して利用できます。

aws.amazon.com

RHEL AIの利用料金は、EC2インスタンスの利用料金とは別にAWSから請求されます。つまり、

  • RHEL AIの利用料金 ($0.40/時間. どのインスタンスタイプでも同じです)
  • EC2インスタンス(OSタイプはLinux)を含むAWSインフラの利用料金

の合計金額がAWSから請求されることになります。料金情報は、EC2インスタンス起動画面などから確認できます。AWS Marketplaceでの従量課金制のRHEL AIを利用する場合、2025年10月時点では、次の画像に記載されている3つのインスタンスタイプのいずれかのみを選択できます。

利用方法

事前準備

AWS Marketplaceのカタログから購入手続きを実施するための事前準備をします。こちらのブログの「事前準備」と全く同じです。

RHEL AIカタログの購入

AWS MarketplaceのRHEL AIカタログから購入手続きを実施します。最初に「購入オプションを表示」をクリックします。

続いて表示されるページの下部にある「サブスクライブ」をクリックします。

ここまでの手続きが正常に完了すると、オンデマンド専用のRHEL AIサブスクリプション(SKU: MCT4738MO)がRed Hatアカウントの「Subscription Inventory」のページに表示されます。これでRHEL AIカタログの購入手続きは完了です。購入手続きが完了しても、実際にRHEL AIのAMIを利用してEC2インスタンスを起動しない限り、RHEL AIの利用料金は発生しません。

AWS Marketplaceから購入したRed Hatサブスクリプションは「Contract Number」が「Not Available」となっていますが、Red Hatからのサポートを問題なく受けることができます。

RHEL AIサブスクリプション(SKU: MCT4738MO)は自動更新される設定になっています。RHEL AIサブスクリプションが不要になった場合は、PAYG RHEL AIのEC2インスタンスを全て削除したあとに、AWS Marketplaceのサブスクリプション管理画面からAMIサブスクリプションをキャンセルします。これによって、Red Hat Subscriptions InventoryのWebページからも、RHEL AIサブスクリプションが自動削除されます。

RHEL AIサブスクリプション(SKU: MCT4738MO)がRed Hatアカウントに割り当てられていない場合、これまでの手順を正しく実施していたかどうかを見直してみてください。不明点がある場合は、Red Hatのカスタマーサービスまでお問い合わせ下さい。

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PAYG RHEL AIの起動方法

RHEL AIはEC2コンソールのAMI選択画面から選択して起動できるようになっています。次の画面からRHEL AIを選択すると、自動的にRHEL AIの最新バージョン(2025年10月時点では 1.5)が選択されます。RHEL AIのライフサイクルは短いため、2025年10月時点では最新バージョンしかサポートされていません。そのため、RHEL AIは常に最新バージョンを利用することを推奨しています。

RHEL AIサブスクリプションにはRed Hat AI Inference Serverサブスクリプションが含まれているため、PAYG RHEL AIのユーザーはRHEL AIのEC2インスタンス上で、Red Hat AI Inference Serverも実行できるようになっています。

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AWS Marketplaceで購入できるRed Hat OpenShift AIサブスクリプション

Red Hat OpenShift AIはRed Hat OpenShiftの機能を基盤として、生成AIモデルと予測AIモデルの学習・推論環境を展開するためのプラットフォームを提供します。MLOps機能が統合されており、ハイブリッドクラウド環境全体における AIアプリケーションのトレーニング、チューニング、推論、モニタリングを含む包括的なライフサイクル管理を実現します。

AWS Marketplaceに従量課金制のOpenShift AIカタログはありますが、2025年10月時点ではこのカタログはRed Hat OpenShift Service on AWS (classic architecture)のアドオン製品(Red Hat OpenShift AI Cloud Service)として提供されるものとなっています。

2026年4月1日以降にRed Hat OpenShift Service on AWS (classic architecture)の新規クラスター作成機能が終了することもあり、AWS MarketplaceでOpenShift AIサブスクリプションを購入して利用したい場合は、プライベートオファー経由での購入を推奨しています。「購買専用のお問い合わせ」のWebページからAWS MarketplaceのOpenShift AI購入希望をお問い合わせください。その際に、プライベートオファー発行に必要な情報をご案内します。ここで発行されるプライベートオファーは、年間契約式のSelf-Managed OpenShift AIサブスクリプションとなります。

OpenShift AIを無料で試してみたい場合は、60日間のSelf-support 評価版OpenShift AIサブスクリプションを次のWebページから自動発行できます。[Start your trial]ボタンをクリックして「Your product trial has started」といったメッセージが表示されれば、自動発行の手続きは完了です。

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発行が完了すると、評価版のOpenShift AIサブスクリプション(SKU: SER0788)がRed Hatアカウントの「Subscription Inventory」のページに表示されます。

この評価版サブスクリプションでOpenShift AIをお試しいただいた後に、プライベートオファーでOpenShift AIサブスクリプションをご購入いただけます。この場合、評価版サブスクリプションで構築したOpenShift AI環境をそのままご利用いただけます。OpenShift AI on ROSA with Hosted Control Planeで、OpenAI社が2025年8月にリリースしたgpt-ossというオープンモデルの実行を紹介するブログがありますので、こちらを参考にしてみてください。

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OpenShift AIサブスクリプションにはRed Hat AI Inference ServerサブスクリプションとRHEL AIサブスクリプションが含まれているため、OpenShift AIのユーザーはBYOSでRHEL AIをAWS上で実行したり、Red Hat AI Inference ServerをOpenShift上で実行できるようになっています。

まとめ

Red Hat AIをAWS Marketplaceで購入して利用する方法をご紹介しました。オンプレミスとAWSのハイブリッドクラウド環境でオープンソースのAIインフラストラクチャーを効率的に導入できるようになっています。ぜひご活用ください。

* 各記事は著者の見解によるものでありその所属組織を代表する公式なものではありません。その内容については非公式見解を含みます。