皆様こんにちは、Red Hat の中島です。
ここでは2025年4月より日本から利用できるようになった ”Red Hat Ansible Automation Platform Service on AWS” (以下 AAP on AWS)について紹介させてください。 このサービスは従来のRed Hat Ansible Automation Platform(以下AAP)とはいくつかの異なる特徴を持っています。
AAP on AWS の特徴
特徴 | メリット | 補足 |
---|---|---|
SaaS型で利用できる | AAPサーバーの構築・運用不要 | Red Hat の SREチームが実施 |
従量課金で利用可能 | 契約期間中に自動化した対象の台数で課金されます | 詳細は後述します |
今回の記事ではこの AAP on AWS の利用方法を紹介致します。
注意: 本手順を実施してAAP on AWS の契約を行うと実際に課金されますのでご注意ください。
またAAPは従来通りのSelf-managed(自分でサーバーを構築して自分でAAPをインストールして利用する)方法も引き続き利用できます。こちらのSubscription「Red Hat Ansible Automation Platform Subscription on AWS」もAWS経由で購入可能になっており、AWSだけでなくオンプレや他のクラウドでも利用可能なAAPのSubscriptionを購入できます。ぜひこちらもご活用ください。
合わせて同じタイミングで多くの新サービスが利用可能になっておりますので、興味があればぜひこちらもご確認ください。 rheb.hatenablog.com
利用までの流れ
AAP on AWS は以下の流れになります。
- 必要なアカウントを作成する
- AWS で AAP on AWS を契約する
- Red Hat Hybrid Cloud Console で AAP on AWS をディプロイする
- AAP on AWS へログインして Subscription を設定する
注意: ここで紹介する手順は将来的に変更される可能性があります。最新の手段については マニュアル をご確認ください。
では、個別の内容について見ていきましょう。
AAP on AWS を利用するための準備
本サービスを利用するには2つのアカウントをあらかじめ作成しておく必要がありますので、まだの方は以下のリンクから作成してください。
AWS で AAP on AWS を契約する
1) AWSにログインします。
2) 検索ボックスで「red hat ansible automation platform service」を検索
"Marketplace" の項目に表示される「Red Hat Ansbile Automation Platform Service on AWS Sold by: Red Hat」を選択します。
注意:
Sold by Red Hat Limited
← 欧州の一部の国の税制に対応するため購入先、Sold by Red Hat
← 日本を含むそれ以外国の購入先となっております。
3) サービスページが表示されたら「View parchase option」を選択
4) 契約内容を選択
本記事の執筆時点では、以下が選択可能な項目になっています。利用方法に合わせて選択してください。
選択項目 | 内容 | 補足 |
---|---|---|
契約期間 | 月単位、年単位 | |
自動更新 | ON/OFF | |
基本契約台数 | 何台を自動化するか 自動化の対象となる仮想マシンの台数、ネットワーク機器などの台数を合計して選択します 何を「ノード」としてカウントするかについては こちら をご参照ください |
次で補足します |
補足) 追加コストについて
上記で契約したノード数を上回って自動化を行った場合は、以下の追加コストが請求されます。また、実際にAAP on AWS サービスが開始されると、サービスを起動するためのサーバーやストレージリソース等を含めた各種管理費用として「Control Plane Infrastructure and Service Fee」も請求されます。
注意: 超過分の自動化ノードのコストは契約期間が終了すると(月単位の契約の場合は1ヶ月後)リセットされ、次の契約期間で超過が発生しなければその分のコストは発生しません。
5) 契約内容に問題がなければ「Subscribe」を選択
6) 契約が完了するのを待つ
通常数分で終わります
↓
これでAWS側での作業は終了しました。
「Set up your account」を選択して、Red Hat の画面へと操作を移してください。
Red Hat Hybrid Cloud Console で AAP on AWS をディプロイする
1) AWSとRed Hat のアカウントをリンクさせる
AWS側で「Set up your account」をクリックすると、Red Hat Hybrid Cloud Console のログイン画面へ移ります。こちらへRed Hat アカウントを使ってログインしてください。ログインするとAWSとのアカウント接続のメニューが起動しますので「 connect accounts」を選択してください。
2) AWSのアカウントIDを入力
補足) AWSのアカウントIDの確認
AWSコンソールの右上から確認できます。
3) AAP on AWS のディプロイ先リージョンを選択
執筆時点で東京リージョン ap-northeast-1 を選択することができません(将来的に対応される予定です)。AAPの自動化は遠距離でも利用できますが、「Execution Node」を自動化の対象の近くに配置することで、距離による自動化のオーバーヘッドを解消することができます。Execution Node の配置については こちら のマニュアルをご確認ください。
4) 「Provisioning」を選択しディプロイを開始
5) ディプロイが完了
暫く待つ(数分〜数十分程度)と、アクセスのためのURL情報が表示されます。
万一、いつまで立ってもディプロイが完了しない場合は Red Hat のサポート にご連絡ください。
次の手順でログインパスワードを取得してAAP on AWS へログインしましょう!
AAP on AWS へログインして Subscription を設定する
1) ログインパスワードの取得
サービスのディプロイが開始されると、RHアカウントに登録したメールアドレスにログインパスワードの情報が届きます。
こちらのリンクは「1度」しかクリックできません。必ずパスワードは自分の手元にメモしておいてください。
本メールが届かない、パスワードのメモを忘れてしまった場合は、Red Hat のサポートに連絡してパスワードの初期化を依頼してください。
2) Subscription の登録
取得したパスワードを使ってログインすると、AAPの Subscriptionの登録画面が開きます。以下の設定を行います。
項目 | 内容 | 補足 |
---|---|---|
Select your Ansible Automation Platform subscription to use | Username / password を選択 | |
Red Hat Username | 先ほど Red Hat Hybrid Cloud Console にログインしたRed Hat アカウント | |
Red Hat Password | 先ほど Red Hat Hybrid Cloud Console にログインしたRed Hat アカウント | |
Subscription | Red Hat Ansible Automation Platform Service, Premium (On-Demand, Enablement) を選択 | このSubscription は AAP on AWS 専用の特別なSubscripitionで、契約後に AWS − Red Hat のアカウントをリンクすると自動的に付与されています |
3) これで手順は完了です!
後は自由に Playbook を登録して自動化ジョブを動かしてください。
まとめ
今回の記事では AAP on AWS を利用するまでの流れを紹介いたしました。
これまでは自分でサーバーを準備して、そこに可用性などを考慮してAAPをインストールする必要がありましたが、本サービスを使えば2時間前後でAAPを利用することができます。また構築後の運用(バージョンアップ等)もSREチームによって行われるため、自動化の担当者はPlaybookとジョブの開発に専念することができます。
ぜひ活用して自動化の実現に役立ててください。