効果的なテクニカルサポートへの問い合わせ方法とは

※この記事はRed Hat Advent Calendar 2023 の23日目です。 qiita.com

こんにちは。Red Hat にてOpenStackのテクニカルサポートの担当をしている井川です。

日頃、サポートケースを通じて多くの問い合わせを頂いておりますが、認識の齟齬や状況・問題の把握に時間を要し、残念ながら解決までに時間のかかることもあるのが現状です。

今回、より早く解決させるためのコツ(tips)・ベストプラクティスについて、「サポートサービス利用ガイド」の中から「サポートサービスをうまく活用するコツ」をご紹介したいと思います。

サポートサービスをうまく活用するコツ

詳細を記載する

特にトラブルシュートや障害調査では、可能なかぎり詳細を記載することにより、サポートエンジニアが状況を把握しやすくなり、トラブル解決へのスピードが早くなることが期待されます。トラブル発生時にはバタバタしてしまい、なかなか冷静でいることは難しい状況です。

しかし、ここを省略してしまうと、サポートエンジニアとの情報のやりとりが増えることとなり、結果、トラブル解決にかかる時間が増大してしまう可能性が大きくなります。

記載すべき情報の例

  • 現象発生日時 (日付・時刻)
  • 発生頻度 (1度のみ発生、くりかえし発生、不定期に発生)
  • タイミング(再起動時に発生、毎日 0:00 に発生、タイミング不明)
  • 事象発生前に実施した作業やオペレーションの有無
  • パッケージやソフトウェアのアップデート
  • 環境や設定の変更 ・ 環境の詳細 (ホスト名、カーネルバージョン、パッケージバージョン等)

ログやデータなどの情報で事象を説明する

上記「詳細を記載する」にも関連しますが、以下のような具体的な情報をご提供いただくことで、事象把握の大きな助けとなります。 しばしば、「インターネットに繋がっていない環境なのでsosreportなどを送付できない」というケースも見受けられます。しかし、サポートエンジニアとしては、これらの具体的な情報が無いとシステムや事象の詳細がわからず解決に非常に時間がかかる結果となってしまいます。

このため、重要なシステムであればあるほど、トラブル発生時に下記の様な情報をどのように送付するのか?を予め計画・テストしておくことが大切となります。

記載・添付すべき情報の例

  • コマンド出力結果
  • sosreportやログ情報抜粋
  • 画面ショット (スクリーンショット)

トピック・問題ごとにサポートケースを分けて登録する

1つのサポートケースで複数のトピックや問題が扱われると、どちら事象についての話なのかが分かりづらくなり、お客様もサポートエンジニアも混乱が発生する可能性があります。

このようなことを避ける為、トピック・問題ごとにサポートケースをご登録いただければと思います。

同じホストで以下 a と b の2つの事象が発生したとします。 1つのサポートケースで a,b 両方をお問い合わせ頂くより、別の (2つの)サポートケースでお問い合わせ頂いた方がスムーズに対応が進みます。

  1. OS再起動時に時間がかかるので、短くする方法を教えて欲しい。
  2. パッケージのアップデートを試みたらエラーで失敗した。対処方法を教えてほしい。

また、サポートケースのやり取りの中で新たな問題やトピックが出てくることもよくありますが、その場合には、サポートエンジニアより、新たなサポートケースの登録をお願いすることもありますので、ご了承いただければと思います。

適切な重大度を指定する

重大度の定義」の通り、重大度 1や2は業務を提供している本番環境向けにおける深刻・重大な問題向けのものです。 あてはまらない環境・問題でも選択できてしまいますが、実際のシステム・業務の状況をお伺いしたり、状況に応じて重大度の調整をお願いさせて頂く場合があります。 access.redhat.com


その他

Red Hat テクニカル・アカウント・マネジメント(TAM)を購入する

通常のテクニカルサポートでは、リアクティブな対応となり、また、システム構成や状況は把握していないため、ケース作成毎に毎回説明していただく必要があります。

一方、TAMにおいては、お客様の単一連絡窓口のテクニカルアドバイザーとなり、定期的なリモート会議に参加し、予めシステム構成等を把握し、プロアクティブにサポートを行うことなどが可能となります。

このため、トラブルの発生を未然に防ぐことが可能となり、また、トラブル発生時にも担当TAMがすでに把握してる情報を再度やり取りすることがなく、通常のテクニカルサポートと比較し、迅速に解決に導ける可能性が高まります。

重要なシステムにおいては TAM のご購入を検討いただければ幸いです。

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サポート利用に関するリンク

本記事を書くにあたりコピペ参考にした資料へのリンクです。リンク先の資料には、サポートサービス・カスタマーポータルの利用方法が丁寧に書かれています。

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上記で述べた事も一部含まれていますが、各製品毎のログ収集方法へのリンク等あります。

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Red Hat OpenStack Platform において発生した事象を解析するためのログ収集方法について書かれたドキュメントです。英語が苦手な場合には、機械翻訳を参考としていただければと思います。

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おまけ

ChatGPT 4に、問い合わせる際のコツを聞いてみました。

ChatGPT4への質問1

Red Hat のテクニカルサポートへ問い合わせる際、より効果的な回答を得るための方法やコツを挙げられるだけ挙げてください。

回答

Red Hatのテクニカルサポートに問い合わせる際、効果的な回答を得るためには以下の方法やコツが有効です:

  1. 明確な問題の説明:問題の詳細を具体的かつ明確に説明してください。何が起きているのか、どのような状況で問題が発生しているのか、影響を受けているシステムやソフトウェアのバージョンなどを含めます。

  2. 再現手順の提供:問題を再現するための具体的な手順を提供することで、サポートチームが問題をより迅速に理解し、解決策を見つけやすくなります。

  3. エラーメッセージとログの共有:エラーメッセージやシステムログ、コンフィギュレーションファイルなどの詳細情報を提供することで、問題の原因を特定しやすくなります。

  4. 優先度の設定:問題の緊急度やビジネスへの影響度を伝えることで、サポートチームが対応の優先度を適切に設定できます。

  5. 既存のトラブルシューティングの結果の共有:既に試みた解決策やトラブルシューティングの手順を共有することで、サポートチームが同じ手順を繰り返さずに済みます。

  6. 具体的な質問や要望の提示:どのような解決策を求めているのか、具体的な質問や要望を明確にすることが大切です。

  7. 連絡先情報の確認:連絡が取れる電話番号やメールアドレスを確認し、必要に応じて連絡可能な時間帯も伝えておきます。

  8. 関連する環境情報の提供:問題が発生している環境(ハードウェア、OS、ネットワーク構成など)に関する情報も重要です。

  9. 継続的なコミュニケーション:問い合わせ後も状況が変わった場合は、追加情報を提供するなどして継続的にコミュニケーションを取ります。

  10. サポートポータルやコミュニティの利用:Red Hatのサポートポータルやコミュニティフォーラムで、似たような問題や解決策がないか探してみるのも一つの方法です。

これらのコツを実践することで、Red Hatのテクニカルサポートからより迅速で的確な回答を得ることができるでしょう。

筆者補足

  • 「4. 優先度の設定

→ Severity(重大度)にて設定できます。

  • 「7. 連絡先情報の確認

→ 通常、サポートケースを通じてのやりとりとなりますので、特段の注意は不要です。

  • 「8. 関連する環境情報の提供」:問題が発生している環境(ハードウェア、OS、ネットワーク構成など)に関する情報も重要です。

→ sosreport が非常に有効ですが、お問い合わせの問題に関連すると思われる環境の情報があれば、付け加えていただくとより効果的です。

  • 「10. サポートポータルやコミュニティの利用」:Red Hatのサポートポータルやコミュニティフォーラムで、似たような問題や解決策がないか探してみるのも一つの方法です。

→ 弊社ドキュメントナレッジベース には非常に多くの情報が蓄積されております。お問い合わせの際に、一度ご確認いただくことにより、回答が素早く見つかる可能性もあります。

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ChatGPT4への質問2

RHOSPに関する問い合わせの場合、特に注意すべき点やコツなどあれば教えてください。

回答

Red Hat OpenStack Platform(RHOSP)に関する問い合わせの際に特に注意すべき点やコツは以下の通りです:

  1. バージョン情報の提供:問題が発生しているRHOSPのバージョンを明確に伝えてください。異なるバージョンで異なる問題や解決策が存在する可能性があります。

  2. デプロイメントの詳細:デプロイメントの設定や構成(ノードの数、使用しているストレージやネットワーキングの設定など)に関する詳細情報を提供します。

  3. 具体的な症状の説明:問題の症状を具体的に説明します。例えば、特定のサービスが応答しない、パフォーマンスが低下している、あるいは特定の操作が期待通りに動作しないなどです。

  4. 関連するログファイルの提供:OpenStackの各コンポーネントからのログファイルを集め、問題の解析に役立つ情報を提供します。

  5. エラーメッセージの共有:発生しているエラーメッセージを可能な限り詳細に共有します。

  6. 変更履歴の記録:問題発生前に行われたシステムやネットワークの変更、アップデート、設定の変更などの履歴を提供します。

  7. スケールや負荷の情報:問題が発生している環境のスケール(仮想マシンの数、使用中のリソース量など)や現在の負荷に関する情報も有効です。

  8. 環境固有の情報:自社の環境に特有の設定やカスタマイズがある場合は、それに関する情報も共有してください。

  9. 既に試みた解決策:問題解決のために既に行った試みや、実施したトラブルシューティング手順を共有します。

  10. 継続的なコミュニケーション:問題解決に向けた継続的なコミュニケーションを保ち、新たな情報が得られたらそれを迅速に共有します。

Red Hat OpenStack Platformは複雑なシステムですので、これらの情報を詳細に提供することで、テクニカルサポートチームがより効果的に問題を理解し、解決策を提供しやすくなります。

筆者補足

いずれも重要な視点と感じます。特に最後の

Red Hat OpenStack Platformは複雑なシステムですので

は、とても染み入る言葉と感じます。


以上、効果的なテクニカルサポートへの問い合わせのヒントとなれば幸いです。

* 各記事は著者の見解によるものでありその所属組織を代表する公式なものではありません。その内容については非公式見解を含みます。