(注) 本記事は2020年11月時点の情報です。OpenShift Kubernetes Engineの最新情報については、参考情報として記載しておりますOpenShiftドキュメントも合わせてご参照ください。
Red Hat ソリューションアーキテクトの小島です。
Red Hatが提供しているOpenShift Kubernetes Engineの特徴についてご紹介します。
- OpenShift Kubernetes Engine (OKE) とは何か
- OpenShift Kubernetes Engine (OKE) の対象ユーザ
- OpenShift Container Platform (OCP) への移行を考える場合
- 参考情報
OpenShift Kubernetes Engine (OKE) とは何か
OpenShift Container Platform (OCP)のサポート範囲を、Red Hatが限定して提供しているOpenShiftとなります。OKEとOCPは全く同じソフトウェア構成から成り立っており、OKE専用に機能を限定したソフトウェアを提供するようなことは行っていません。そのため、OKEのユーザはOCPの製品ドキュメント(インストールや設定ガイドなど)をそのまま参照できますし、OCPの機能やソフトウェアアップデートをすべて利用できるようになっています。OKEのライフサイクルポリシーもOCPと同じであり、OKEのプレミアムサブスクリプションにはOpenShiftの延長サポートオプション(特定のマイナーリリースに限定)が付属します。ただし、OCPの一部の機能についてはセルフサポートでご利用いただくことになります。OCPでのみテクニカルサポートを提供する機能の概要は次のとおりです。
- OpenShiftクラスターのログ集積
- OpenShiftが標準で搭載している、ElasticSearch, Fluentd, Kibanaベースのロギング
- Prometheusによるユーザワークロードのモニタリング
- Metering Operatorなどを利用したメータリングやコスト管理
- 下記のようなアプリケーションの開発/モダナイゼーション/DX推進を支援する機能群
- アプリケーションビルド, パイプライン, Developer Console/Catalog, Serverless, Service Mesh, CodeReady Workspacesなど
これらの機能についてRed Hatのテクニカルサポートやコンサルティングサービスを受けたい場合は、OKEでなくOCPのサブスクリプションをご購入いただく必要がありますのでご注意ください。OKEのサブスクリプションしか持っていない場合、OCPでのみサポートされる機能の利用については、Red Hatのサポートチームによる問い合わせ対応をお断りしています。なお、OCPではなくOKEを購入した場合でも、次のような機能の利用はサポートされます。
- OCPのインストーラを利用したインストール
- Over the Airアップデート/アップグレード
- SDN/Storageプラグインの利用
- OVS/OVN SDNの利用
- OpenShift Container Storage(別売り)の利用
- Prometheusによるクラスターのモニタリング
- 外部のコンテナレジストリにあるイメージのインポート及びデプロイ
- 例えば、Red HatのMiddlewareサブスクリプションをOKEとは別に購入している場合、Red Hat Ecosystem CatalogなどからMiddlewareのイメージをOKE上にインポートしてデプロイ・利用できます。*1
- OpenShiftに同梱されたOperatorHubを利用したアプリケーションデプロイ
- Red Hat Marketplaceを利用したアプリケーションデプロイ
- OKEのユーザは、OCPのエコシステムによって提供されるコンテナ製品を、OCPと同様に利用できます。
- Windows Container
- 現時点ではOCPでもGAになっていませんので、OCPでのGA以降にOKEでもサポートされる予定です。
- OpenShift Virtualization
こうしたインフラ関連の機能はOKEでもサポートされますので、OKEのユーザはRed Hat認定のKubernetes環境を構築・運用できるようになっています。ただし、OKEとOCPでは利用するソフトウェアは同じですがサポート範囲が異なるため、OKEとOCPのクラスターは分離して構築・運用することになります。
OpenShift Kubernetes Engine (OKE) の対象ユーザ
OKEは下記のようなユーザを想定しています。
- DX推進などに興味があり、それらを支援する次のような機能をまずは試してみたい
- アプリケーション開発・デプロイを効率化するための、OCP標準のビルド/デプロイパイプライン
- カスタムアプリケーションの構築・運用を自動化するためのカスタムOperatorの開発
- アプリケーションのモダナイゼーションを目的とした、Service Meshなどによるマイクロサービスアーキテクチャ化
- 上記機能を試すに先立ち、下記の特徴を持つセキュアなKubernetes環境を構築したい
- OSとKubernetesなどのインテグレーションテストが実施済み
- エコシステムが作られており、サードパーティが認定しているコンテナアプリケーションの種類が豊富
OKEを利用していても、DX推進などを支援するOCP標準機能を本番環境で活用したい場合は、OCPへの移行を推奨しています。
OpenShift Container Platform (OCP) への移行を考える場合
前述したとおりOKEとOCPは同じソフトウェアを利用しており、OCPのインフラ関連の機能はOKEでもサポートしていますので、OKEの環境をそのまま活用できます。ただし、今までセルフサポートで利用していたクラスターロギング、メータリングや開発推進機能などについてOCP購入後にテクニカルサポートを受けたい場合、Red Hatの製品ドキュメントなどに記載しているSupportedな構成・利用方法である必要があります。そのため、セルフサポートで利用していた構成について、一部または全てを作り直す可能性がありますのでご注意ください。
また、サブスクリプションについては、OKEからOCPのサブスクリプションにアップグレードするための購入・事務手続きを行います。この手続きの詳細については、Red Hatの営業までお問い合わせください。
参考情報
OKEについての最新情報は下記もご参照ください。OKEの紹介ドキュメントや、OKEでサポートされる機能一覧を掲載しています。
*1:Red HatはOpenShiftがバンドルされたMiddlewareのサブスクリプションを提供していますが、この場合、バンドルされたOpenShiftはOCPのみの扱いとなります。OKEがバンドルされたMiddlewareのサブスクリプションについては、現時点では提供していません。