AWS, AzureでRHELを利用する前に確認すること

Red Hatの森若です。

パブリッククラウド上でRHELを使う場合に、クラウド事業者から購入するかRed Hatから購入するかでいくつか違いがあり、 あとから変更することができません。事故を防ぐために最初にどちらを使うか決めておく必要があります。

今回は特にお問いあわせの多い、AWSおよびAzure上でRHELを利用する場合についてまとめます。

Certified Cloud and Service Provider (CCSP) とは

Red Hatは多数のパブリッククラウド事業者と協力して、クラウド環境でRHELへのサポートを提供できる体制を整えています。 そのためのプログラムが Certified Cloud and Service Provider Program で、以下ではパブリッククラウド事業者のことをCCSP事業者と呼びます。

CCSP事業者はRHELをはじめとしたRed Hat製品とサポートを提供できますが、どの製品を扱うかはCCSP事業者により異なります。 たとえば AWS および Azure では、オンラインで購入ができ、時間単位で使用した分だけの従量課金で使用することができますが、AWSではEUS, ELS, HA などのRHELのアドオンは2020年6月現在提供されていません。AzureではEUS, HAは提供されていますが ELSは提供されていません。

CCSP事業者は自社環境にあわせた仮想マシンイメージを作成し、Red Hatの用意した一定の試験を通過させることで認定イメージを用意できます。 ユーザにとっての「RHELのイメージ」はこのようにして提供され、ISV製品の動作などに必要な基本的な互換性が維持されます。

CCSPでのRHEL購入をおこなうと、CCSP事業者へIaaSとまとめて支払える、サポート窓口がCCSP事業者に集約される、通常のRHELが1年単位のサブスクリプションであるのに対して短い単位で利用できるなどのメリットがあります。

Red Hat Cloud Access

一部のCCSP事業者については、Red Hat Cloud Access という仕組みで、既にユーザが持っている RHEL のサブスクリプションを持ち込む ことが可能となっています。

この場合、RHELについてのサポート窓口はCCSP事業者ではなくRed Hatです。質問できる相手は購入元に対応します。

Red Hat Cloud Accessについては以下ページによくある質問と回答がまとまっています。

Red Hat Cloud Access で利用する場合、一般的にはユーザが仮想マシンイメージを作成した上で、CCSP事業者のクラウド上へ持ち込み、動作させます。 ただしAWSとAzureでは、Gold Imagesと呼ばれるCloud Access用の仮想マシンイメージも用意されています。

Gold Imagesについては以下のドキュメントおよびナレッジをご確認ください。

カスタムのイメージ作成については以下のナレッジ記事が詳しいです。RHEL 7.6 以降および RHEL8 では Image Builder により作成することもできます。

CCSP事業者がどの製品をどちらの方式で提供するかは以下で検索できます。

Red Hat certified cloud and service providers

CCSPのRHELと Cloud AccessのRHELは相互に変更できない(例外あり)

ここで一点注意点があります。CCSPのRHELと Cloud AccessのRHELは相互に変更できません。

CCSP事業者が提供する認定imageは、事業者により追跡・カウントされサブスクリプション費用が計上され、サポートもCCSP事業者が行います。 それに対して Red Hat Cloud Access は Red Hat がサポートを提供し、CCSP事業者から見ると「ユーザが持ちこんだなにか」であり、IaaS部分についてしか関知しません。

この2つの間を相互に変更することはできません。 「認定imageで構築作業をはじめたが途中から Cloud Accessに切替えたい」とお問いあわせをいただくケースがありますが、 そのような場合はゼロからの再構築をしていただくようお願いしております。

(2020年10月30日追記) Azure では、Azure Hybrid Benefit -- Linux という仕組みで、任意のタイミングで切り変えることができるようになりました。執筆時点ではまだpreview段階でMicrosoftへ個別の申請が必要です。

Cloud Access が必要なケースは?

いくつかのケースで、CCSP事業者の認定imageを利用するのではなく、Cloud Access による持ち込みが必要になります。

  • EUS, ELS, High Availability, Resilient Storage といったRHELのアドオン製品が必要で、CCSP事業者が提供していない場合
  • Red Hat Satellite からの管理が必要な場合
  • 集中購買による値引きなどで価格メリットがある場合

これらの条件に該当するかどうかを事前に確認して、あとから変更が必要になるケースを防ぎましょう。

* 各記事は著者の見解によるものでありその所属組織を代表する公式なものではありません。その内容については非公式見解を含みます。