Red Hat認定資格の歴史を振り返る

Red Hat認定資格の歴史を振り返る

〜いつ始まり、何が変わり、今どうなっているのか〜

皆さんこんにちは、Red Hat Global Learning ServicesでLearning Solution Architectを担当している坂井 大和(@lab8010)です。

この記事では、Red Hatのトレーニングと認定資格に興味をお持ちの皆さま向けに、Red Hat認定資格の歴史について整理してみたいと思います。

「Red Hatの資格っていつからあるの?」「昔はどんな試験だったの?」「今の資格は何が違うの?」という疑問に、できるだけ分かりやすくお答えしていきます。


はじめに

Red Hatの認定資格は、単なる知識確認のための試験ではなく、実際に手を動かして業務を遂行できるかを問う実技中心の資格体系として発展してきました。

この "performance-based" という考え方は、Red Hat認定の大きな特徴であり、初期から現在までずっと一貫しています。

なお、2026年現在では自宅での受験も可能となっており、以下の動画では具体的な受験の流れを紹介しています。


Q. Red Hat認定資格はいつから始まったのか?

A. 1999年1月にRHCEが始まったのが、Red Hat認定資格の出発点です。

参考:RED HAT EXPANDS INDUSTRY-LEADING RHCE PROGRAMME(Red Hat公式)

Red Hatの公式発表では、最初のRHCE取得者が1999年1月に誕生したことが示されています。
つまり、Red Hat認定資格の歴史は、少なくとも1999年初頭から継続していると言えます。


Q. 初期の資格形態はどのようなものだったのか?

A. 初期はRHCEのみでした。

RHCE

この時代のRHCEは、Linuxシステム管理やネットワーク管理のスキルを、実際の環境を使ったライブ試験で確認する形式でした。
選択問題を解くだけではなく、実際にコマンドを打ち、設定し、動作させることが求められるのが大きな特徴です。

Red Hatはこの認定を、OS資格としては珍しいperformance-based certificationとして打ち出していました。
要するに、「知っているか」だけではなく、「現場でできるか」 を問う資格だったわけです。


RHCTの登場(2002年)

その後、2002年11月にRHCTが導入されました。RHCTは、現在のRHCSAの前身にあたる資格です。

参考:Red Hat Broadens Skill Certifications Program with New RHCT Certification(Red Hat公式)

RHCTの登場によって、Red Hat認定はより段階的な体系になりました。
上位のRHCEに加えて、基礎的なシステム管理スキルを評価する資格が整備されたことで、学習者にとってもキャリアの入り口が明確になっていきました。

日本では2004年3月より、それまでRHCE受験の副産物として運用されていたRHCTが、独立した単独試験として正式スタートしています。あわせてこのタイミングで、トレーニングの実施プラットフォームがRed Hat LinuxからRed Hat Enterprise Linux 3へと移行しました。

参考:RHCE取得を目指すRHCE系トレーニングコース/認定試験を刷新(レッドハット株式会社 日本語プレスリリース)

当時のRHCT試験の対象範囲については、RHEL 5時代のデプロイメントガイドにその内容が記録されています。

参考(日本語):Red Hat Enterprise Linux 5 デプロイメントガイド - RHCT試験について
参考(英語):Red Hat Enterprise Linux 5 Deployment Guide - RHCT Exam


RHCAの登場(2004年発表 → 2006年日本提供開始)

2004年6月、資格体系の頂点に位置する RHCA(Red Hat Certified Architect) が発表されます。

参考:New Red Hat Training and Certification Ensure Architect Level Competencies for Open Source(Red Hat公式プレスリリース)

RHCAはRHCEの上位に位置する Capstone Certification(最上位認定) として設計されており、複数のサーバーやSANを用いたデータセンター規模の実機演習が中心です。対象は、組織のインフラを多種多様なシステムにわたって設計・管理するシニアエンジニアです。

なお、2004年6月の発表時点では「今年後半に提供開始予定」という案内にとどまっており、日本での提供開始は2006年3月となっています。レッドハット株式会社は2006年2月14日にその旨を発表しており、ITmediaもこれを報じています。

参考:レッドハット、最上位の認定資格RHCAのトレーニングを開始(ITmedia Enterprise)

取得には以下の5つのコースと対応する認定試験の合格が求められていました(提供開始当初)。

トレーニングコース 内容 認定試験
RHS333 エンタープライズ セキュリティ ネットワークサービスコース EX333
RH401 エンタープライズシステムの導入・運用コース EX401
RH423 エンタープライズディレクトリサービスおよび認証コース EX423
RH436 エンタープライズストレージ管理コース EX436
RH442 エンタープライズシステムの監視・パフォーマンスチューニングコース EX442

Red Hat Vice President of Learning Services であるPeter Childers氏は2004年の発表プレスリリースの中で、RHCAについて「オープンソースアーキテクチャの設計・管理に関心を持つ企業にとって魅力的な資格になる」と述べています。


Q. 現在の資格形態はどうなっているのか?

A. 現在はRHCSA・RHCE・RHCAの3段階のレベルを採用しています。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/e/erinam/20220414/20220414110233.png

2010年のRHEL 6リリースを境に、資格体系が現在の形に整理されました。初級となるRHCSA、中級のRHCE、そして最上位のRHCAという3段階の構成で、いずれも実技試験による認定という方針は変わっていません。

📎 参考:Red Hat認定資格を持っていると「できるエンジニア」と言われるのはなぜなのか(赤帽エンジニアブログ)

RHCSAはRed Hat Certified System Administratorの略で、現在のRed Hat認定資格体系における入口の資格として位置づけられています。
試験はEX200で、RHEL環境に対して実際の管理タスクをこなす実技試験です。

📎 参考:Red Hat Certified System Administrator (RHCSA) exam|Red Hat公式

なお、RHCSAはRHCTの後継として 2010年のRHEL 6リリースに合わせて導入 されました。過去にRHCTを取得済みの方にはRHCSAが遡及発行されるという、ユーザーへの配慮もなされています。

📎 参考:Red Hat Introduces New Certification and Role-Based Training Paths(Red Hat公式)


歴史の流れを整理すると

時期 主な資格 位置づけ 試験の特徴
1999年1月 RHCE 認定資格の出発点 ライブ環境での実技試験。Linux管理とネットワーク管理を評価
2002年11月 RHCT 基礎資格の追加 初級のシステム管理スキルを実技で確認(RHCSAの前身)
2004年6月 RHCA 最上位資格の追加 複数サーバー・SAN環境を使った実機演習。アーキテクト向け
2010年〜現在 RHCSA / RHCE / RHCA 段階的な資格体系 RHCSAはEX200の実技試験。RHCEは中上級、RHCAは最上位

まとめに代えて

Red Hat認定資格の歴史を振り返ると、最初から最後まで一貫しているのは、実務に強いエンジニアを育てるという思想 です。

試験の形式や資格名は時代とともに変わってきましたが、"手を動かせること"を重視する方針は変わっていません。
1999年のRHCE誕生から、2002年のRHCT、2004年のRHCA、そして2010年のRHCSAへの改名にいたるまで、常に「現場で通用するか」が問われ続けてきました。

そのため、Red Hat認定資格を学ぶことは、単に資格を取るためだけではなく、Linux/Red Hat環境での実践力を体系的に身につけることにもつながります。

* 各記事は著者の見解によるものでありその所属組織を代表する公式なものではありません。その内容については非公式見解を含みます。